#03 「AI搭載」を名乗るEAの中身は何か──Market Pulse AI を監査する
名前に「AI」が入ったEA(249ドル・毎月100ドル値上げ方式)を監査します。結論から言うと、中身は販売ページ自身が明記している通り「グリッド+ナンピン」でした。ただし面白いのは、このEAの開示水準がむしろ市場上位だったこと。「AI」の看板と中身を切り分けて読む練習台として最適な1本です。
この手順を確認した環境
- 検証日:
- 2026-08-19
EA監査シリーズの第3回は、このサイトの主題に一番近いEAを選びました。 名前に「AI」が入っている売れ筋EAです。
「AI搭載EA」という言葉に期待と不安の両方を持っている方にとって、 「AI」の看板の下に実際は何が入っているのかを、 販売ページの記載だけでどこまで確かめられるか──の実例になります。
今回も販売ページの公開情報のみ・未購入の監査です。
対象
| 項目 | 内容(2026-08-19 確認) |
|---|---|
| 商品 | Market Pulse AI 3.0(MQL5 Market) |
| 価格 | 249 USD(「毎月1日に100ドル値上げ」方式) |
| 評価 | 5.0/11件(デモDL 679) |
| 対象 | AUDCAD・EURCHF・NZDCHF・EURCAD・EURGBP の5ペア |
| 中身 | ポートフォリオ型グリッド。「マーチンゲールではない」と明記、固定サイズのナンピン最大5回 |
| 成績主張 | バックテスト: 27週で+71.4%、残高DD 2%・含み最大DD 10.7% |
| 更新 | v3.0(2026-08-13) |
最初に一番大事なこと──「AI」はどこにいるのか
販売ページを最後まで読むと、動作の説明は **グリッド(価格帯に注文を並べる)+固定ナンピン(逆行で最大5回買い増し)**です。 これは盛り方8パターンの手口4で説明した、 普段勝率が高く見えて、一方向の相場に弱い構造そのものです。
つまり「AI」は動作原理ではなく、商品名です。 これはこのEAに限った話ではありません。 AI型EAの記事で書いた通り、 市場の「AI EA」の大半は、従来型ロジックにAIという名前を付けたものです。 名前で判断せず、仕組みの説明を探して読む──これが監査の第一歩です。
5基準での判定
| 基準 | 判定 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 成績の正体 | ✗ | 成績はバックテストのみ。ライブシグナルの記載が見当たらない |
| 2 再現条件 | ○ | 通貨ペア・証拠金(最低1,000ドル、推奨2,500ドル)・期間の明記あり |
| 3 悪いときの数字 | ○ | 残高DDと含み損ベースのDD(10.7%)を分けて開示。直近の悪い期間(-6.3%)も自ら記載 |
| 4 仕組みの説明 | ○ | グリッドであること・ナンピン回数の上限まで自分から明記(誠実) |
| 5 売りっぱなしでないか | ○ | 更新が直近まで継続。レビューへの個別対応が高評価 |
この監査から学べること
1. 「AI」の名前と中身は、必ず切り分ける
このEAは中身を隠していません。むしろグリッド+ナンピンだと自分から書いています。 問題は、買う側が「AI」の2文字だけ見て中身を読まないことです。 グリッド系を理解した上で買うのと、AIが賢く判断してくれると思って買うのとでは、 逆行し始めたときの行動がまったく変わります。
2. 開示水準は市場上位。しかし成績はバックテストのみ
含み損DDまで分けて出す開示は、#02のScalping Robot Pro (DD記載なし)より明確に上です。「聖杯は存在しない」とまで書いてある。 それでも、成績の正体がバックテストだけなら、 5つの基準の第1問で立ち止まるべきです。 バックテストが「盛れる」ことは手口1〜3で見た通りです。
3. 「毎月1日に値上げ」は、期限演出のサブスク化
「今夜値上げ」(手口8)を毎月自動で繰り返す設計です。 どの月に見ても「今月中に買えば安い」ように見える── 急がせる仕掛けは、中身の良し悪しと無関係に働きます。判断材料から外してください。
当研究所の結論(公開情報の範囲で)
- 開示の誠実さと、成績の証明力は別物。このEAは前者が高く、後者が弱い
- グリッド+ナンピンという構造を理解して資金管理できる人以外には向かない
- 「AI搭載」を理由に選ぶ理由は、少なくとも販売ページからは見つからなかった
次に読む
→ #04 「No AI」を宣言するEAの監査(正反対の売り方) → EA監査一覧(公開版)
※本記事は2026-08-19時点の公開情報(販売ページ・公開レビュー)に基づく確認結果であり、 特定商品の購入の推奨・非推奨を示すものではありません。記載の価格・評価は変動します。 投資判断はご自身の責任で行ってください。
最終更新: 2026-08-19