#01 ClaudeにEAを作らせてみる──プロンプト1つで「動くEA」ができるまで
プログラミングを知らなくても、AIに頼めばMT5で動くEAは本当に作れます。実際のプロンプトと返ってくるコード、MT5に入れて動かすまでの手順、そして「動いた後」に待っている本当の課題までを、実例で見せます。
この手順を確認した環境
- 検証日:
- 2026-08-18
- MT5:
- Build 6090
- OS:
- Windows 11
「AIにEAを作らせる」は、この研究所がいちばん力を入れて扱うテーマです。
先に結論を言うと、動くEAは本当に作れます。 プログラミングの知識がなくても、AIへの頼み方さえ分かれば、 今日中に自分のMT5で自作EAが動きます。数年前には考えられなかったことです。
ただし、この連載で一番伝えたいのはその先にあります。 「動く」と「勝てる」の間には、想像よりずっと深い谷がある── 私はAIでEAを作って検証する作業を数百回単位で繰り返してきましたが、 この谷を知らないままAIにEAを量産させるのは、かなり危険です。
第1回はまず「動くまで」を実際にやります。谷の話は、体験してからの方が伝わるので。
用意するもの(すべて無料)
| もの | 入手先 |
|---|---|
| AIチャット | Claude または ChatGPT(無料プランで可) |
| MT5+デモ口座 | 国内業者で開設(デモ口座の開き方) |
必ずデモ口座で行ってください。 作ったばかりのEAを本物のお金で動かすことは、 この連載では最後まで出てきません。
AIへの頼み方──最初のプロンプト
AIチャットに、たとえばこう頼みます。
MT5で動くEA(MQL5)を書いてください。
- 戦略: 20期間と50期間の単純移動平均線のゴールデンクロスで買い、
デッドクロスで決済する。売りはしない
- 1回の取引は0.01ロット固定
- ストップロスは100ポイント、テイクプロフィットは200ポイント
- 同時に持つポジションは1つまで
- コードには日本語のコメントを付けてください
ポイントは、戦略・ロット・損切り・ポジション数を自分の言葉で指定することです。 「勝てるEAを作って」のような丸投げでは、AIはそれらしいものを適当に埋めます。 何をさせたいかを決めるのは、AIではなくあなたです。
数十秒で、OnInit や OnTick といった関数が並ぶコードが返ってきます。
意味が分からなくて構いません。全文をコピーしてください。
MT5に入れて動かす──4手順
- MT5で F4キーを押す(MetaEditorという編集画面が開きます)
- 「新規作成 → エキスパートアドバイザ」で名前を付け、 中身をAIのコードで丸ごと置き換えて保存する
- F7キーでコンパイル(人間の書いたコードを機械語に変換する操作です)
- MT5に戻り、ナビゲーターに現れた自作EAをチャートへドラッグする
チャート右上にEA名が表示され、自動売買ボタンが有効なら、もう動いています。 デモ口座なので、何が起きても失うものはありません。
ポイント: 手順3のコンパイルでエラーが出ることがあります。そのときは、エラーメッセージをそのままAIに貼り付けてください。「このエラーを直して」で、たいてい修正版が返ってきます。エラー対応までAIに任せられるのが、この時代の一番の変化です。
過去データで走らせてみる
チャートで眺めているだけでは、取引はなかなか起きません。 Ctrl+R でストラテジーテスターを開き、作ったEAを過去データで走らせてみてください (使い方はバックテストの基本にまとめています)。
売買の印がチャートに付き、損益グラフが描かれます。 自分がAIに指示した戦略が、本当に売買として実行されている── これが確認できたら、第1回のゴールです。
ここからが本番です──「動く」と「勝てる」の谷
さて、いま手元のバックテストには、それらしい成績が出ているはずです。 運が良ければ、右肩上がりのグラフかもしれません。
その数字を、まだ1円も信じないでください。
私自身の話をします。AIにEAを作らせて検証する実験を繰り返す中で、 一時は「これは行ける」という成績のEAができたことが何度もあります。 しかし検証のやり方を厳しくするたびに、その大半は幻だと分かりました。 原因は様々です──テスト期間のいいとこ取り、コストの見落とし、 そして一番怖いのは、未来のデータを参照してしまうバグ(先読み)が コードに紛れ込んでいて、テスト上だけ無敵になるケース。 AIが書いたコードは動くまでが速いぶん、こういう欠陥も高速に量産されます。
つまりこの連載の本体は「作り方」ではなく、**「作ったものを疑う方法」**です。
- 第2回: AIが作ったEAのバックテストが「盛れてしまう」典型パターン
- 第3回: 先読みバグ──テストでだけ勝つEAの見抜き方
- 第4回: デモでのフォワードテストと、運用に載せる判断
次に読む
連載の続きを待つ間に、基礎を固めたい方はこちらへ。
→ EAの選び方──買う前に確認する5つの基準 (自作EAを「疑う」ときにも、この5基準がそのまま使えます)
※本記事は技術解説であり、投資助言ではありません。 掲載したプロンプト・コードの利用による損失について、当サイトは責任を負いません。 検証は必ずデモ口座で行ってください。
最終更新: 2026-08-18